お金のはなし

【子どもの金融教育に悩んでいる人必見】FPが教える「お金について」

今までは「お金の勉強」に重きをおいた記事が多かったです。

今回は、親子で読んでほしい「お金について」というテーマで書いてみたいと思います。

そもそも「お金」ってなんですか?色々なものが買えたり、サービスを受けられたりと生きていく上でなくてはならないものです。

では、お金はたくさんあった方がいいのでしょうか?だとすれば、いわゆるお金持ちは優れているのでしょうか?

結論からいいます。

お金は道具です。

それ以上でも、それ以下でもありません。道具なので感情も持っていません。

つまりは、道具を使う人によって価値観や必要な度合いも違いますし、良くも悪くもなります。

この記事では、お金とはいったいなんなのか?といった基本的なことを、小学生でもわかりやすく解説してみたいと思います。

私も小学生の子を持つ親として、一緒に学んでいけたらと思っています。

お金は「道具」

お金は道具です。先にも書きましたが、これが結論であり、大前提です。

ひとくちに「道具」といっても色々なものがあります。

えんぴつ・消しゴム、お箸・スプーン、包丁・まな板、バット・グローブ、靴・服、自動車・バイクなどなど…

挙げだすとキリがありませんが、「この世に存在する生き物以外のものは道具」といってもいいかもしれません。

さてそんな道具の中で「お金」とは

「世界で一番便利な道具」

です。

というのも、道具には必ず役割があります。

例えば、ハサミの役割は「モノを切る」ことです。自動車の役割は「人やモノを速く楽に移動させる」ことです。

ではお金の役割はなんでしょうか。

「何かと交換する」

という役割を持っています。

スーパーへ行って買い物する時、自分が持っているお金と交換することで肉や野菜が手に入ります。

風邪をひいて病院へ行った時、自分のお金と交換するものは、医者の診察を受けたり薬をもらうという行為です。

また別の見方をすれば「ものさし」の役割もあるといえます。

例えば、自動車のタイヤがパンクして車屋で修理してもらったときに5000円支払ったとします。

『「パンクの修理」という作業には5000円の価値がある。』と測ることができます。

スーパーできゅうりの値札に「35円」とあれば、「きゅうりの価値(値段)は35円」とわかります。


この便利な「お金」という道具には、もちろん使い方があります。ですが、その「使い方の説明書」がありません。

電気屋で買う家電などには説明書が付いてきます。

自動車を運転するためには、操作方法やルールを身につけて「免許」をもらわないと運転できません

私が小学生の頃、テレビゲームのソフトには必ず説明書が付いていました。それを読んで遊び方を覚える、といった流れが自然だったのです。

最近のテレビゲームには説明書は付いていないものが多いですが、ゲームの中にチュートリアルとして入っているものが多いですね。

つまり、道具とよばれるものには「説明書」が付いているのが当たり前なのです。

それではなぜ「お金」には説明書がないのでしょう。

学校では習わない「お金」について

「学校の勉強」についても説明書はありませんが、学校の先生が国語や算数を教えてくれます。

私たちが生まれてから死ぬまで必ず使う「言葉」「計算」といったものは、義務教育といわれる小学校・中学校で必ず教えてくれます。

日本語を話すから「国語」を教えてくれる、買い物をしたり数を数えたりするから「算数・数学」を教えてくれる。

しかし、お金についてはどうでしょうか。お金も生きていく上ではなくてはならないものです。

何かを食べる時、料理をする時、電車に乗る時、ゲームをする時、病院に行く時など、死ぬまで使い続ける必要のあるものです。

けれども、その大事な「お金」について教えてくれる学校(教科)はありませんし、ましてや取扱説明書もありません。

生きていく上で読み書きをするために国語が必要、だから学校(義務教育)で教えてくれる。

生きていく上で必要なお金について、なぜ学校で教えてくれないのでしょうか。


2022年4月から、高等学校の家庭科の授業で「金融教育」が必修化されました。家庭科といえば調理実習や栄養、裁縫やモノづくりといったイメージが強いものですが、それに加えて「家計管理」といった視点から金融教育が始まっています。

「家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること」

「生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察すること

文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」より一部抜粋

それに併せるように「成人年齢の引き下げ」も行われ、18歳(高校3年生頃)からクレジットカードを作ったり、ローンや賃貸の契約も保護者の同意がなくても一人でできるようになります。

クレジットカードやローンと聞くと、ネガティブなイメージを持つ人もいるかと思います。実際のところ、お金のトラブルの多くはこれらが占める割合が大きいのです。

今に始まったことではありませんが、これらのトラブルを防ぐ目的でも高等学校での金融教育には一定の成果が求められています。

その他にも、金融商品といわれる「預金・株式・債権・投資信託」などについても触れられるといわれています。

このように、成年直前の高校生を対象にした「お金の勉強」は始まりましたが、はたしてそれでいいのだろうかというのが個人的な感想です。

前述のように「国語・算数(数学)」は一生使うものだから、小学校から高校まで一貫して習います。

「お金」も一生使うものなのに高校からでいいのか、と切実に思います。

やはり「お金の勉強」についても小学校から、むしろ物心がつく頃から学んでいくべきではないのかと思います。(そういう思いがありこの記事を書いていますが)

お金の正しい使い方

道具にはそれぞれ役割があって、正しい使い方があります。

例えば料理を作る時、食材を手でちぎったり、破ったりではとても効率が悪いので包丁を使います。料理を作る(食材を切る)ときは、包丁が欠かせません。

特に、よく切れる包丁でキャベツを千切りにする時は気持ちいいものです。

さて、この料理の時は便利な包丁ですが、人に向けて振り回すとどうなるでしょうか。

もちろん危険ですし、下手をすれば傷つけたりもしてしまいます。

これは、包丁という道具の「間違った使い方」です。

この時に悪いのは「包丁」でしょうか?

違いますよね、「間違った使い方」をした「人間」です。

道具には感情がありません。ですので、その道具の使い方や使う人によって差が出てくるのです。

自動車も同じで、ルールを守って正しく運転すれば便利で快適なものです。

スピードの出し過ぎや飲酒運転は「使う(運転する)人」が原因であって、自動車自体に危険な原因があるわけではありません。

やはり、道具には正しい使い方があるのです。


もうひとつの例を挙げます。

よく切れる包丁だからといって、10本も必要でしょうか?

便利だからと一人で車を10台も持つ必要はあるでしょうか?

一部のマニアやコレクターを除けば、まず必要ない数です。

一般的に考えれば、包丁は2〜3本あればほとんどの家庭料理では事足りますし、車も一人1台あれば十分です。

このように、道具にはそれぞれ必要な数量があります。置かれている環境などによって差はありますが、多すぎても少なすぎても考えものです。

お金も例外なく、多すぎても少なすぎてもよくないといえます。

「少なすぎると困るけど、多すぎるのは困らないんじゃないの?」

そういう意見が多いかと思いますが、お金を持ちすぎると盗難や詐欺の心配、税金や相続の問題が出てきます。

【足るを知る】

古代中国のことわざですが、「何事も『満足する』という意識を持つことが幸せになる秘訣である」という意味があるそうです。

お金・道具を持ちすぎても不要な感情が出てしまうだけなので、適度に持つのが望ましいともいえます。

お金(道具)には正しい使い方があり、適切な量が必要だということがわかりました。

「お金の勉強」は、人生を豊かにしてくれる」

今まで「お金に関する説明書」がないと伝えてきました。

実際のところ、本屋に行ってみるとお金に関する書籍を見る機会が数年前に比べると圧倒的に増えました。そういう意味では「説明書」的なものは手に入りやすくなってきたのかなと感じています。

また説明書だけではなく、ゲームや資格試験のように攻略本・対策本などがあれば便利だと思いますし、本屋やインターネット上でもその類のものは常にかんたんに手に入ります。

もちろんお金に関しても、そういうものがあれば有利になります。

ただし、決まった攻略法のあるゲームや資格試験と違って、お金に関しては人それぞれ使い方や必要量が違ってきます。

なので、書籍や信頼できる情報源から得た知識(取扱説明書)などを使って、自分なりの「お金の攻略本」を作り上げていくことが大切です。


高校生からとはいえ金融教育が始まったのはいいことだと思います。

けれども高校生になるまでの金融教育は学校では受けることができませんので、現状では「家庭での金融教育が全て」といえます。

つまりは「親のお金の知識=子どものお金の知識」となる可能性が極めて高いということでもあります。

ということは、子どもだけではなく親もお金の勉強をしなくてはいけませんね。

「お金の攻略本」は小さい頃から少しずつでも作り上げていく方が、人生を良くしてくれるのは間違いありません。まさに「知識の複利効果」ともいえるでしょう。

お金の勉強はすればするほど、人生を良くしてくれる。

私はそう思います。

自分だけではなく子どもやその下の世代にも、お金の勉強は繋いでいくべきです。

この記事がその一助になれば幸いです。


最後までご覧いただきありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。