「幸せってなんだろう」
こんな哲学的なことを考えたことはありませんか?おそらく多くの人が一度は考えたことがあることでしょう。
幸福とは心が満ち足りていること。幸せ(しあわせ)ともいう。人間は古来、幸福になるための方法に深い関心を寄せてきた。
Wikipedia より一部抜粋
「心が満ち足りている」状態とはどういう状態でしょうか。お金がたくさんあれば心は満たされるのか。何不自由なく暮らせていれば幸せなのか。
答えは簡単には見つかりません。そもそも「幸せ」は人それぞれ感じ方が違いますし、世界中80億人それぞれの幸せのかたちがあるはずです。
「世界幸福度ランキング」という調査があります。私たちの日本は47位(2023年)だそうです。日本はアメリカ・中国に次ぐ世界の経済大国なのに順位としては低いように思いませんか?(ちなみにアメリカは15位、中国は64位だそうです…)
このランキングは世界各国の世論調査を集計し、それぞれをポイント化して総ポイントで順位をつけています。なので国が豊かだから上位とは限らないのです。
単純にランキングが上だから幸せ、下位だから不幸せとは限りませんが、私たち日本人が国の豊かさに対して幸せを感じている人の割合が少ないとも感じる結果です。
日本という国は水道や電気といったインフラも整備されていて、蛇口を回せば飲める水が出てきます。スイッチを入れれば夜でも明るくできます。ワンコインで美味しいものも食べられますし、ケガや病気になってもほぼ低価格で安心安全な治療が受けられます。また、夜中に一人で出歩けるほど治安もよく、衣食住にはまず困ることはありません。
そんな日本で生まれ育った私たちが、幸福度ランキングでなぜ上位にあがらないのでしょうか。
ここでは、幸せになる「お金の使い方」という視点から考えていきたいと思います。
「浪費=悪」ではない
以前にもお金の使い方には「消費・浪費・投資」という考え方があるとお話しさせていただきました。
簡単におさらいしておきます。
消費は、生活していく上で必要な支出
浪費は、必ずしも必要ではない支出
投資は、将来の利益になるための支出
まず注目したいのは「浪費」です。浪費というと、どうしても「ムダ遣い」というイメージがついてくるかもしれません。
しかし浪費には「人生を豊かにするための支出」という側面もあります。
例えば、このサイトの名前「きまぐれ珈琲」。私は趣味でコーヒーの自家焙煎をしているのですが、コーヒーはいわゆる嗜好品です。必需品ではないので、なくても生活には困りません。コーヒーに関するモノは全て「浪費」といえるでしょう。コーヒー豆、ドリッパー、専用ポットだけでなく焙煎機や完全に趣味のコーヒー豆を入れる紙パックやロゴまで作っています。
上の子が7歳の時に書いてもらった書道作品を取り込んでロゴにしました。パックに印刷するたびに「今ならもっと上手に書けるのに…」と本人はボヤいていますが。
けれども、この浪費のおかげで日々の生活や仕事を頑張れるのです。毎朝コーヒーを点てて水筒に入れています。通勤中や職場でホッとひと息。また休日に出かけるときなどにもコーヒーを持って行きます。
他にも、特別な時にする外食やプレゼントも浪費といえます。けれども家族や友人と楽しく過ごすことができれば、浪費といえど決して悪いモノではないはずです。
料理に使うスパイスも適度に使えば味をよくしてくれます。それと同じように、人生に彩りを与えてくれるのも浪費のもつ大事な役割なのです。
一番コスパのいい投資は「自己投資」
次に投資についてです。もう一度いいますが、投資とは「未来の利益につながる支出」です。
投資と聞くと一番思い浮かべるのは、「株や投資信託といったものに投資する」…ではないでしょうか。
企業や国に出資して(お金を出して)利益が出ればその一部をもらう…立派な投資ですね。
世間一般でいわれるこの投資、以前にも記事にしましたが「長期積み立て」の「インデックス投資」であれば年利平均約5%のリターンが期待できるともいわれています。(あくまで過去の統計上ですが)
10万円を投資して一年後は10万5000円、複利の力が効いて20年後は26万5000円になります。
預貯金の金利が0.001%の時代には、確かに魅力的ですね。10万円を銀行に預けても1年間にもらえる利息はたったの1円です。
ちなみに預貯金も投資の一種であるといえます。つまり「預貯金」という金融商品に投資しているのです。
ではここで、もう一つの投資について考えてみましょう。
投資に使うお金は同じく10万円です。これを金融商品(株や投資信託など)ではなく、資格スクールで学ぶための学費に充てるとしましょう。
例えば簿記2級を取れば、就職や転職に有利といわれています。一概にはいえませんが、かなり転職の幅も増えるといわれています。勤め先によっては手当を出してくれるところもあるでしょう。
スクールで約半年学んで、取得後に手当てもしくは転職で年収が上がればどうでしょうか。これも「未来の利益のための支出」=投資です。
順調にキャリアアップできれば、おそらく年利5%どころではないでしょう。数10%、数100%という期待もできます。
投資の中でも最も爆発力があるといわれる投資、これを「自己投資」といいます。
ここでは元手10万円・資格取得を想定しましたが、もっと安価で幅広くできる自己投資があります。
それが「読書」です。
一般の書籍というものは、作者が長年培ってきた知識や経験といったものを一冊の本に集約しているもので、私たちが見てわかりやすいように編集されたものです。
それらのものが一冊数千円で学べるのですからコスパは抜群にいいといえます。
さらに読書は、知識や教養を身につけられるだけではなく読解力向上やストレス解消にもいいとされています。
けれども「読書は苦手」「活字を見ると眠たくなる」という人もいるでしょう。そんな人にオススメしたいのは、興味のある分野の本を読むことです。決してベストセラーだから、ためになると勧められたからで読んではいけません。
私自身、今ではビジネス関連や自己啓発関連の書籍を読むことが多くなりましたが、読書に関心がなかった頃はほぼ漫画のみでした。そんな時に出会ったのは「マンガで読む○○○」シリーズでした。このシリーズでベストセラーの本や歴史本や経済本を読むことで、少しずつ読書習慣がつきました。そうすると他の分野にも興味が出てきて、読書に対する抵抗は軽減されていきました。
その次に選んだのは難しい専門書などではなく、わかりやすい解説でお馴染みの「池上彰」氏の著書でした。宗教や経済、時事問題について少しずつ情報を吸収できるようになりました。
そうするとニュースや新聞や雑誌の内容が以前より理解できるようになり、さらに興味が湧いてくる。そして最終的にたどり着いたのが「お金の勉強」でした。そしてお金の勉強をはじめたことで家計だけではなく、人生も良くなったと実感しています。
この本をご存知ですか?一時期とても話題になった著書です。タイトルの通り「ゼロで死ね」とは、なかなかインパクトのある見出しです。
「死ぬ時には持ち金をすべて使って死のう」という大筋ではありますが、これにはいろいろな意味合いが含まれています。
「死ぬ時に一番お金を持っていても意味がない」これは事実です。稼いで、節約して、貯めに貯めて、大して使うことなく一生を終える…これではあまりいい人生だったと胸を張っていえる人はいないでしょう。「蓄財自体に生きがいを感じる人」であれば話は別ですが。
私自身はこの本を読んで「ゼロで死ぬ訳にはいかないよな」という感想を持ちました。決して本にイチャモンをつける訳ではありませんが、この世の中では「死ぬことにもお金が必要」だからです。
私はまだまだ働き盛りの40代です。万が一があった時に残された家族に必要最低限のものを残しておかなくてはいけません。子どもの学費や当面の生活費、自分の葬儀代や火葬費用も必要です。そういう意味で「ゼロで死ぬ」訳にはいかないのです。
けれどもこの著書の本質や私が伝えたいことはソコではありません。
この記事のタイトルのように「幸せになるための」「豊かな人生を送るための」お金の使い方、です。
「豊かな人生を送るためのお金の使い方」をすることで、結果的にゼロ(必要最小限のお金)で死ぬのが理想ではないかと思います。
「浪費は悪ではない」
「自己投資は人生をより良くするきっかけになる」
お金の勉強は、私にいろいろな気づきを与えてくれました。そのうちのひとつが本記事の内容です。
消費・浪費・投資の考え方、使い分けは人生を大きく左右することになります。
普段の買い物でも、何気なく買っていたモノ。例えばセール品の醤油、よりどり3パック1,000円の肉、ネット通販で送料無料まであと100円のために買う500円の新しい漫画。これらのものを消費と見るか浪費と見るか、はたまた投資になるのか。
ほんの数秒でいいので考えてみましょう。
家のストック棚にしょうゆが2本並んでいたら例えセール品でも浪費と考えられませんか。
肉3パックも使いきれないけど、来週の弁当用に切り分けて冷凍室へ、これなら消費かも。
漫画を読んで新しい分野に興味が湧くかもしれない、これなら投資だ。
それが正しいかどうかは誰にもわかりません。正解なんてあってないようなものです。
けれども、その考え方や意識の持ち方が人生をよくするきっかけになります。
そしてそれが「幸せになるためのお金の使い方」になっていくことでしょう。
現状に不安や不満があっても、今のままでは何も変わりません。鴨はネギを背負ってやっては来ませんし、白馬の王子様はどこにもいません。
まずは一歩踏み出すこと、なにかをはじめること。
「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」
日本が誇るイチロー氏が言った名言のひとつです。
あのイチロー氏ですら、はじめはプロとして試合に出るのが目標だったのです。ひとつひとつ練習や実績を積み上げ、ヒットを量産し、アメリカに渡ってからも絶え間なく努力し続けた結果が「プロ通算4367安打」という前人未到の記録(ギネス認定)を打ち立てたのです。
世界記録を目指せとはいいません。自分の小さな幸せのため、できることから少しずつはじめてみませんか。
最後までご覧いただきありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。